2021年に建築家フランク・ゲーリー氏とコラボしたルイ ヴィトンの特別なフレグランス「レ ゼクストレ コレクション(Les Extraits Collection)」。新作発表会に参加してきましたので、今回の新作香水のコンセプトや香りの感想などを共有します。
もくじ
ルイ ヴィトン財団美術館の建物デザインを手がけたフランク・ゲーリーによるボトルデザイン
今回の新作5種類のフレグランス。 LV専属調香師ジャック・キャヴァリエ=ベルトリュードとフランク・ゲーリーとのコラボシリーズです。今回の香水名は、ゲーリー氏に配慮して?英語名になっています。(ワールドワイド戦略かも?)
ボトルに関しては何より目を引くのが、ボトルキャップ部分のウネウネとしたデザインですよね。これは、フランス パリにあるルイ ヴィトン財団の美術館の外観デザインからきています。ボトル全体で帆船を表現しているんですって!
事前のプレス写真では丸くみえたボトル周りも、よく見ると船の先端のような尖りがあり、キャップのウネウネしたデザインも、風を受けた帆のようになっています。いつもの丸い寸胴ではなく、とても凝ったデザインです。これはボトルの加工も手が込んでいるな…と思いました。
気になるキャップはアルミニウムにパラジウムコートでできています。重たすぎるとボトルが倒れてしまうけどプラスチックでは味気ないですよね、、金属を使用してうまくバランスが取れています。キャップの内側にはLVマークいり。手が込んでる~!
香水好きにはたまらないエキストレド パルファム!濃い!
ボトルデザインやジュースの色味などパっと目を引く新作5種ですが、今回お値段も話題の1つになりました。香水1本77,000円て…「家賃じゃん」とTwitterでコメントを頂いて「ほんまや!」とうまい表現に納得いたしました。。ほんと家賃ですよね(笑)
しかし、発表会冒頭で値段が通常の倍になった理由が明かされ、秒で納得してしまいました。今回の「レ ゼクストレコレクション」は、濃度が通常の倍、エキストレドパルファムなのです・・・・・!通常15%の濃度が30%の香料。濃度が倍だから値段も倍、いつもより高いと思っていた気持ちは秒で崩壊しました😂なんならボトルデザイン料は無料となり、お得感すらあります。。
エキストレドパルファムとなると濃度の濃さで日常使いするのが難しくなるのですが、使いやすいようにスプレータイプです。気になる濃さですが、流石はジャック キャヴァリエ氏。香りはしっかり主張しますが、重たくないんです…軽やかとは言いませんが、透明感が持続します。今回はウードが無い(又は目立たない)調香になっており、その点もとても纏いやすい仕上がりになっていると思います。お花やムスク、アンバーをメインに楽しむことが可能です。
ウードは中東ライン(オンブレノマド、ニュイドフ、サーブルローズ)でご用意あるので、重ね付けするとなんともいえない奥行きが広がるのではないかと思い、合わせるのがすごく楽しみです。
1プッシュで香りが10時間ほど持続し、ムエット紙からも5日間ほど香り続けるそうです✨実際、今、5種類の持ち帰ったムエットをテーブルに広げていますが、隣の部屋にいても香り続けています。ルイ ヴィトンは、通常ラインのオードパルファムも香りの持続性が高く、朝から夕方まで平気で保ちますが、今回は濃度が倍な分、つける箇所はより配慮が必要かなとも思います。あまり慣れていない人だと、手首につけてPCワークしていると香りに酔うかもしれません。。ウエストや下半身、背中に纏うのも良さそうです。香水に慣れている人は、手首でもどこでもバシャバシャ浴びちゃってください☺
個人的には寝香水におすすめです…!サンプル1プッシュで翌朝もしっかり香っていました…!
さて、それでは、発表会でご案内頂いた順番(鼻が疲れにくい)に香りをご紹介します。
1、シンフォニー(Symphony):シトラス香水
トップバッターはシトラス(柑橘フルーツ)香水。ベルガモットオレンジにグレープフルーツ、ジンジャーがメイン香料で、この並びをみるとLVメンズ香水の「リマンシテ」を連想するのですが…ジャック キャヴァリエ専属調香師の引き出しの深さに改めて感嘆します。肌乗せして両香水を嗅ぎ比べても、リマンシテとシンフォニーは全く異なる香りです(当然ですが…)。
この「シンフォニー」は、リマンシテのメンズっぽい雰囲気が全くありません。その上で、いわゆる単調なシトラス香水にもなっていません。ルイ ヴィトンにはもう1つ「サンソング」というシトラス全開の香水があるのですが、サンソングともまた印象が全く異なります。
いわゆるシトラスメインの香りではないんです…!「シンフォニー」の香りは、柑橘フルーツの甘さ(果実)とジンジャーが主に香ります。ただ、柑橘(皮)にある渋みは感じられません。甘いオレンジをパーンと切ったときのジューシーな果実に集中しています。それなのに子供っぽさや単純に「オレンジだな」という印象が無いのは、温かい丸みをもったジンジャーのおかげなのだと思いますが、ジンジャーも尖りや鋭さがありません。ほんと、果実の甘い部分(なのに単調なシトラス香水ではない)。ジンジャーシロップをかけたオレンジのような深みのある香りです。
シトラス香水の第2ステージのような、これまでのよくあるシトラス香水とは全く違う香り。「今更シトラス…?」と思っている香水マニアにこそ試してみて欲しい香りです。
余談ですが、「シンフォニー」を肌乗せしたとき、「イマジナシオン」とも合わせたくなりました。よりシトラスが際立つ紅茶香水になります…!
2、ダンシング ブロッサム(Dancing Blossom):フローラルフルーティ
ウィメンズ香水の新作「スペルオンユー」やジャック・キャヴァリエが長年ずっと作りたいと温めてきた「ローズ デ ヴァン」にも使われているセンティフォリアローズ(メイローズ)、「エトワール フィラント」に使用されている金木犀、「ル ジュール スレーブ」 に使用されるジャスミンサンバック…など歴代のルイ ヴィトン香水で使用されたフローラルがぎゅぎゅぎゅっと詰まったなんとも華やかなフローラルフレグランスです。
ローズデバンが香ったと思ったらタービュランスが香り、スペルオンユーが香ったと思えばウール ダプサンスが香る…ネーミング通り、花々がダンスしているかのように香りが躍る作品で、”空中庭園”というテーマがついています。軽い花々の香りですが、ムエットで5日間も香り続ける持続力があります。
「この香り好きだけどウィメンズ香水だからな…お花の香りだし…」と纏うのを躊躇していた男性にも人気が出そうな香りです。
3、ラプソディ(Rhapsody):フローラル
「タービュランス」や「クールバタン」の濃厚なジャスミンにゾクゾク心鷲掴みにされている人には、”お待たせしました!”といった感じのゾクゾクするジャスミン、イランイラン香水の登場です。事実上、廃版になっているタービュランスを上回る濃度でお楽しみいただけます。タービュランスのストックを欲している方には、この「ラプソディ」が後継候補となることでしょう。
“地平線が浮かび上がる旅の始まりの瞬間”というテーマです。
LVのシプレ香水、肝心の香りの感想は、トップはアニマリックなインドール臭がすごいです。ただ、同時にマテ茶もしっかり香り、重たくなりすぎることはありません。ジャスミンを生き生きと支えるパチョリ、オークモスやチュベローズの甘みもありますが、マテ茶の渋みが妖艶に傾き過ぎず、粉っぽさも感じます。やや甘いジャスミン茶のような感じもあります。
ジャスミン好きな方、マテ茶香る「カクタスガーデン」にお花を追加した香りを楽しんでみたい方、そして「タービュランス」や「クールバタン」の濃厚さがたまらなくお好きな方はぜひ試してみて欲しい香りです。
4、コズミック クラウド(Cosmic Cloud):ムスク香水
お次はムスク好きにおすすめの香り「コズミッククラウド」。人肌のアニマリックさを含むムスクとカシスが香ります。コズミッククラウドに使用されているムスクは、ジャック キャヴァリエ氏によるムスクアコードで、ホワイトムスクと呼ばれる植物性ムスクのペルー産アンブレットシード、ベネズエラ産トンカビーンなどでセンシュアルであり、パウダリー、フルーティさを感じさせるユニークなムスクを表現しています。尚、トンカビーンはヴィトン香水では初の使用です。
トンカビーンを合わせて、センシュアルなムスクを表現している。それでいてパウダリーなムスク、そしてフルーティさを感じるムスク。いわゆるこのようなユニークなムスクのシグネチャーである。
ジャック キャバリエ=ベルトリュード(Jacques Cavallier Belletrud)談
ムスクってジャコウジカやジャコウネコ、竜涎香(アンバーグリス)など、動物性アンバー=フェロモンですよね。0.001gとかで希釈すると良い香りに落ち着き、人によっては催淫作用があるなどと言われています。
「コズミッククラウド」に使用されているのは植物由来のムスクなどを組み合わせたアコードで、香料の方を嗅がせていただけたのですが、「・・・ん?・・無?」という感想です(笑)最初はアルコール部分がほぼです。アルコールが飛んだ後、例えば手元に今数日前のムスクアコードのムエットがあるのですが、それを嗅ぐと、アニマリックなようなちょっと酸っぱい汗のような、人肌の甘さを感じる香りです。
この少しアニマリックな部分がジャスミンにも似ていて、ジャスミンとムスクが好きな人に嗅いでみて欲しい香りです。ラストは少し粉っぽさもあるんですよね…”現実と空想の境界を訪れる飛行の旅”というテーマを持っています。
5、ステラータイムズ(Stellar Times)
一番最後に試香したのは、凝縮したアンバー(樹脂)が香る「ステラー タイムズ」
“潜在意識を巡る旅”というテーマです。
最初の試香で一番気になった香りが、これでした。「???!よく分からない香り」だな、、という感じで私に刺さりました(笑)これまでのルイ ヴィトンはもちろん、他ブランド含めても嗅いだことのない香りに感じたのです。
トップから甘い樹脂とホワイトフラワーのオレンジブロッサムがとてもおいしく香ります。
この記事を書いている今は、購入したボトルについてきたおまけのサンプルで「ステラータイムズ」を肌乗せしながら書いています。なので甘いオレンジフラワーもよく分かるのですが、新作発表会の場では恐らく鼻が疲れていたんでしょうね💦何しろ普段の倍の濃度のエキストレド・パルファンです。煮詰めた蜂蜜のようなグルマンな香りを感じています。
因みにこの「ステラータイムズ」は、フランスで7月に発表された際には会場で一番人気だったそうです。人によってはアンバーの濃厚さに、香りに酔ってしまうこともあるようです…どうぞお気をつけて…
購入したのは4種です
私は今回、4種類の香水を購入しました。「ダンシングブロッサム」以外の4種です。なぜダンシングブロッサムを外したかというと、前回購入した「スペルオンユー」に香り方が少し似ていたから。濃度が異なるので印象も違う部分あるのですが、トップのアイリスが飛んだあとのピーチがかった甘みのある花々や「ウールダプサンス」の甘さを抜いた花々、はたまた金木犀の「エトワールフィラント」のような濃い花々の香りが代わる代わるダンスしている雰囲気があり、上記3つは全て保有しているので、今回は一旦、「ダンシングブロッサム」はいいかな、と思ったのです。
よって今回お迎えしたのは、「ラプソディ」「コズミッククラウド」「シンフォニー」「ステラータイムズ」の4本になりました。今回の「レ エグストレコレクション」の香水は、トップとミドル以降の印象が良い意味で変化があり、また、ムエット紙と肌乗せとでも香りの印象が面白く変化するような感想を持ちました。
ジャック・キャヴァリエ氏談では、”トップやミドル、ラストまでの変化が滑らかであまりくっきり変わらないように調香した”ようです。ムエット紙では割とはっきり変化するため、トップで嗅いで気に入って…ちょっと他のを嗅いでいるうちに変化して…「あれ、さっき気に入ったのこれだったっけ…」と香りの迷路になりました。
この肌乗せや香りの変化を自宅でじっくり楽しみたくなったので、一気に4本はやりすぎかな…と迷いましたが、冒険したくなりました…💓今は、ニュイドフなどウードとの重ね付けがやりたくて、取寄せ中の3本の到着も楽しみに待っているところです(到着後、各香水写真は変更予定)。エキストレドパルファンなので、普段は強すぎる「オンブレノマド」ともバランスが良いのではないかと思います。(1:1プッシュでいけそう)
まとめの感想
通常ラインの倍の価格であることに驚いた「レ ゼクストレ コレクション」。当初は1~2本買うかな~という予想でしたが、予想も倍になってしまいました(笑)香水は消耗品ですが、私にとっては芸術作品でもあるのです。絵画を1枚買うほどのお値段ではありますが、この優しくもカラフルなジュースの色を見ればうっとりしますし、香りを纏えば一瞬で別世界からのパワーを身につけることができます。芸術作品+心の栄養剤になってくれる存在、それが私にとっての香水なのです。あなたも機会ありましたら是非、試香・肌乗せして楽しんでみてください✨
「レ ゼクストレコレクション」取扱店
日本国内では、2021年9月30日より表参道店、松屋銀座店、メゾン 大阪御堂筋で先行発売開始。10月7日から公式オンラインストア、銀座並木通り店、新宿店、 札幌丸井今井、阪急梅田店、神戸店、福岡店で取扱いされます。
ご質問などあればコメントお待ちしています☺
▼香水日和と香活(こうかつ)しませんか✨「わたし1人では使い切れない…」香りが劣化する前に素敵な香水ストーリーと共に、香水好きの方と共有したい✨という想いで、小分け香水をお届けしています。不定期/年数回/四季を目途に。”日和の香水小分け勉強会”参加希望の方はLINE登録してお待ちいただけると嬉しいです。表では呟かない情報もたまに。お迎え香水のワクワク話や香水選びの悩みなど、お気軽にどうぞ◎
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