2020年9月より新たにスタートした LUSH SPAトリートメント「ルネサンス」
このスパトリートメントの大きな特徴は、「香水」の香りを使用したトリートメントが受けられるというもの。
スパトリートメントといえば、アロマ精油(エッセンシャルオイル)の使用が一般的ですが、LUSHは、ルネサンス期には香水が治療薬として使われていた歴史に着目。
香水歴史学者のローズ・バイフリートさん(@Rose Byfleet)からの香りの歴史に関する情報を得て、LUSH SPA専用の香水を調香。スパトリートメント内に反映しています。
今回、LUSH 新宿店さまからのご厚意で、スパトリートメント「ルネサンス」の開発メンバーであるパフューム調香師エマさん(Emma Dick)と、商品開発担当のアレさん(Alessandro Commisso)にインタビュー取材することができました✨
- 調香師エマさんインタビュー「代表作はジャンク、サラリウムなど」
- 商品開発アレさんインタビュー「日本は香水砂漠ではない!?」
- LUSH商品作りへのこだわり
など、LUSHファンや香水好きな人達にぜひ読んで欲しい!LUSHの香水や商品作りの裏側をお届けいたします😊
もくじ
LUSH UK パフューム調香師 エマ・ディックさん:代表作は「ジャンク」「サラリウム」など
バスボムやボディケアなど、エッセンシャルオイルの香り豊かでカラフルな商品を製造・販売しているLUSH。年齢性別問わず、あなたも一度は、あのワクワク楽しそうな空間に足を踏み入れたことがあるのではないでしょうか💕
その一方で、独創的で芸術性を感じられるフレグランスを世に送り出していることでも知られているLUSH
LUSHで働く3名の調香師の1人 エマ・ディック(Emma Dick)さんに、香水作りについてお話を伺いました。
1、スパトリートメント「ルネサンス」の世界で使用する香水のこだわりポイントは?
エマさん:LUSHの商品開発の特徴で、「意図して作らない」「決まったルールがない」というのがある。トレンドや流行っている原材料は、一切考慮しない。バズは狙いません。
ただ、今回のスパトリートメントで使用する香水「サッポー」に関しては、「オリス」を使うと決めていた。理由は、当時ルネサンス期に「オリス」は、「フィレンツェのユリ」と呼ばれ、重要な意味を持っていたから。香りはかなり強めで重ため、長く残るものを目指して作った。
【今回のLUSH SPAで使用する香水4つ】
- ネロ・・ネロリを中心としたフレッシュグリーンノート
- フランジパニ・・南国のフランジパニ(プルメリア)をイメージする甘く濃厚な香りに、アーモンドやスモーキーなウッドが香る
- コンフェッティ・・結婚式で配るアーモンドを砂糖でコーティングしたお菓子をイメージ。仏ではドラジェと呼ぶ。バイオレットリーフやローズ、サンダルウッドで愛を表現。
- サッポー・・ルネサンスを代表する香料イリスやジャスミン、バニラの温かさをタバコで現代っぽくアレンジ
2、LUSHの香水は独創的な香りが多いけど、どうやって香りのテーマを決めている?
エマさん:LUSHの調香師は3人いる(創立者メンバーの1人マーク・コンスタンティン、マークの長男のサイモン・コンスタンティン、エマさん)が、色々なところから着想を得ている。芸術、音楽、歴史・・など。
個人的には、食べものや飲み物から着想を得ることが多い。
今回のスパトリートメントで使用する4つの香水に関しては、何かまとまった1つのテーマがあって作ったというよりは、コレクションに合うオイルなどを、ルネサンス期に使用されていた中から1つずつ選んでいった結果できあがった。
3、一番苦労した製品(香水)は?
エマさん:「サッポー」
2年前から取り組んできたが、香りがうまく拡散しない点で苦労した。
ベース香料は素晴らしく、香りが長続きすることも分かったが、「個性がない」「香りが肌から立ち昇らない」ので苦労した。ジャスミンやタバコを加えたことで解決できた。
4、なぜ調香師になろうと思ったのか
エマさん:LUSHでは、新卒からずっと、21年間働いている。
バイイング(素材調達)、製造、品質管理など、LUSHの創立者マークの息子であるサイモンと一緒に仕事をしてきた。EC部(全世界で発売されるLUSH商品に入る香りを作る部)にも長くいた。
LUSHの創業者マーク・コンスタンティンも同じEC部にいて、香水を作りたいと直談判した。仕入れたオイル(香料)の品質コントロールも経験があるし、挑戦させてくれた。
エマさん:ちょうどその頃、ロンドン新店舗をソードストリートに出す予定があった。新しい香り・商品が必要ということで一緒に働かないか?とマークに言ってもらい、調香師として働くことになった。
LUSH商品につける香りを作ってきたのは、5~6年。ファインフレグランスは2~3年。コレクションの中では「ジャンク」という香水を作った。
昔、LUSHが作っていた香水を再登場させたコレクションでは、「ヒマラヤ」「サラリウム」を作った。
5、これから作ってみたい香りは?
エマさん:これまでは、みんなが付けやすい香りを作ってきたので、いつになるか分からないけれど、「芸術性が高い、みんなが付けやすくはないけど、ワクワクする個性的な香り」を作ってみたい。
6、日本人は周りに気を使いすぎて、思うように香水を楽しめていないと感じます・・
エマさん:ファインフレグランスもLUSH製品についている香りも、全てプール(イギリスの地名)にあるラボで作っている。
同じ行程を辿った香りが色んな商品に入っているので、香水が強くて使えないときは、LUSHの別のアイテムで楽しんで!
7、日本人のLUSHパフュームユーザー(ファン)に向けてメッセージがあればひと言お願いします
エマさん:香りのレイヤリングを楽しんで! もっとたくさん実験して欲しい。
日本とイギリスなど海外では、香水の使い方も異なるが、なるべくオープンマインドで「嗅覚」を意識して楽しんで欲しい。嗅覚がみせてくれる世界は素晴らしいのだから・・!
クリエイティブ担当アレさん:LUSHにとって「日本は香水砂漠ではない」
「こんばんは!」手を振りながら日本語でご挨拶してくださったのは、LUSH UKで商品やイタリアのパフュームコンセプトショップ、パフュームライブラリー、そして今回の香水を使ったスパトリートメントを開発担当したアレさん(Alessandro Commisso)
スパで香水を使用するって、私は初耳だったので、アレさんに詳しく聞いてみました。
1、SPAではアロマオイルを使用されることが多いが、UKではパフュームも一般的なのか。LUSHの「ルネサンス」という企画での試みなのか?
アレさん:スパのトリートメントで香水を使うのは他にはなく、イギリスでも一般的ではない。でもだからこそ挑戦したかった。
香水にはエッセンシャルオイルが入っているから。アロマとして使うのと何ら変わりはない。ルネサンス期の歴史から着想を得て、学び、理解した。
アロマが気分を変えるように、香水もまた人の気分を高揚させたりムードを高めたりする作用がある「パワフルなアート」
ルネサンス期には、香水を治療薬として捉えられていた。今のアロマを、当時は香水が担っていた、それをトリートメントと繋げて再現したかった。
香水の原点に立ち戻って、香水が気分を変えていく、前向きにしていくものとして再現したかった。
2、パフュームライブラリーを作ろうと思った理由は?
アレさん:サイモン(LUSHの創立者マーク・コンスタンティンの息子)が、かなりまとまった香水のコレクションを作った。テーマが、エシカルの価値観や考え方に紐づいたものだった。
そこで、LUSHの香りのファンに向けてアピールする目的で、イベントを開催。カタログにもだいぶ溜まってきたのでパフュームライブラリーをやろうと話が進んだ。
LUSHは、LUSHファンのコミュニティで、常にファンとコミュニケーションを取っている。LUSHファンは香水好きが多く、ラッキーな下地があった。
香水を作るときに「着想を得た本」を同時に展示することで、本も買える。現在、世界に8~9店舗あり、新宿店はアジアの旗艦店。
日本が世界で2番目にできた。1番目はリバプール、次に日本、そしてコリア、ロシア・・と続いている。
3、日本が世界で2番目にパフュームライブラリーができたが、「香水砂漠」と呼ばれる日本で早くに展開した理由は?
アレさん:事前の質問リストにあった質問なので待ってた!(笑)
日本の「香水砂漠」はLUSHにはなく、LUSHのマーケットで日本は、実は一番大きいくらい。なので日本に作るのは必然だった。
日本でLUSHがヒットした理由は、LUSHの香水作りが日本人に受け入れられやすかったから。例えば、同じ香りでも、商品によって濃さが異なる。ニッチな香水アイテムもあるので、芸術作品として持ちたい人にも受けている。
4、どのように香りを作っているか
アレさん:LUSHでは、クリエイティブなものを作る人「調香の現場」から産まれたものを売る流れで作っている。創立者でもあるマーク・コンスタンティンが最終的に売りたいものを選ぶ。
全ての人のニーズに合うものを売りたいが、お客様は自分のニーズを必ずしも知っているわけではない。なので、マーケティングよりもクリエイティブ先行で作っている。
5、なぜ、LUSHに入社しようと思った?
アレさん:17年前に入社し、LUSH一筋。商品においしそうな匂いをつける際のフレーバー担当でもある。
イタリアでLUSHがオープンし、ファンになり、オンラインでLUSHのスタッフとコミュニケーションを取るようになった。
コピーライターで入社し、イタリア語と英語の翻訳を担当し、クリエイティブ(商品開発)に移った。実は、商品開発が一番したかったことなので嬉しい!
6、一番苦労した仕事はありますか?
アレさん:人生で?LUSHで?香水で?(笑)
一度も苦戦したことはない。商品作りでは、調香師のエマと一緒に作る。
ただ、難しいのは、LUSHの商品にはパッケージがないので、大型店舗など(売り場が広くて)空気が密集していないところや照明の下などでも、香りを安定させる必要がある。LUSHの製品は茶色っぽくしてしまう原材料を使うことが多く、一番大きなチャレンジになっている。
エマさん:想像性をもって作っているが、商品を作るときと香水ではまた異なる。ソープベースはアルカリ性、香料は酸性、テクスチャや色が変わることもある。変化があったときに原因が分からないこともあり、そういう難しさはある。
アレさん:そこに自社で調香師とバイヤーを抱える意味がある。
LUSHには、原材料を調達するバイヤーと調香師がいるので、色んなチャレンジができる。うまくいかない原因が原材料にあるのか?配合にあるか?などを探ることができるので、自社でバイヤーと調香師を抱えている。
7、アレさんから日本人ファンに向けてメッセージお願いします!
アレさん:LUSHを愛して下さってありがとう。
LUSHの商品を使うことは日本の文化に挑戦することになるかもしれないが、LUSHの想像性や香りを楽しんでくれて、ファンでいてくれてありがとう。
LUSH中の人にインタビューした感想
今回のインタビューは、LUSHの新しいスパトリートメントコース「ルネサンス」についてより詳しく知るために、開発者と調香師にオンラインでインタビュー取材を行ったものです。
(中の通訳さんはLUSH専属なのかな・・LUSHの商品やお二人とのコミュニケーションも十分に取れていて、とてもリラックスした雰囲気で行えたことに感謝しています。)
今回登場したLUSHの新しいスパトリートメント「ルネサンス」では、体の奥深くにある気質を整えることに着目。病気ではないけれど、なんとなく調子が悪い未病が気になる、このご時世にマッチしたリラクゼーションになっています。
自身が選ぶ「言葉」が導く「香り」や「音」のパワーを借りて、香りの力を体感することが可能。フレグランスの香りをベース、ミドル、トップで理解できる香水スパ!私も早速、体験したいと思います(*^^*)
香水スパの詳しい内容や予約はLUSH公式よりどうぞ。
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